今からおよそ150年前、みなさんのお祖父さんのそのまたお祖父さんが子どもだったころ、東京を「江戸」と呼んでいたころのお話です。
日本は「鎖国(さこく)」といって外国の人たちとつきあうことを禁止していました。近くに来た外国船が日本の港に立ち寄るのも、日本人が外国と品物を売り買いするのもいけないこととされていたのです。
 こうした国の大事なことを決めるのは、刀を持ったお侍だけ。武士以外の人々は政治について意見を言うことはできませんでした。
そんな江戸時代の終わりごろ、土佐(いまの高知県)の漁村にいた少年万次郎は、漁に出た途中、嵐にあって無人島に流されてしまいます。そこへ偶然アメリカの捕鯨船が通り救い出され、初めてアメリカの人たちと出会うことになるのですが・・・。
けれども万次郎少年は心をひらいてアメリカの言葉を学び、進んだ文明に触れ、たくさんのことを学びます。言葉も、着るものも、考え方もちがう日本人とアメリカ人。万次郎が夢見るとおり、分かり合うことができるのでしょうか?

 実在したジョン万次郎(中浜万次郎)の半生をもとに、人と人が分かり合うことのむずかしさ、お互いに心をひらくことの大切さを描いたこのミュージカル。あなたも万次郎と一緒に冒険の海へ出かけてみませんか?

今から何十年も前「ジョン万次郎」というテレビ番組があった。何で惹かれたのかはわからない。断片的なシーン2つくらいしか覚えてはいないし、ストーリーも覚えてはいない。でも、何か気になるものがあった。その後井伏鱒二(いぶせますじ)著の「ジョン万次郎漂流記」を買って読んだ。たぶん夏休みの読書感想文を書くためだった。おもしろかったという記憶はない。今読めば少しは理解できるかもしれないが。

 ジョン万次郎は、幕末、海外の情勢や文化を日本に紹介できたほとんど唯一の日本人。14歳のとき漁に出て遭難、捕鯨船に拾われてアメリカに渡る。10年後戻ってきたとき日本は黒船騒ぎの真っ只中、ペリーがやって来る2年前だった。それまでの日本は鎖国(さこく)を続けていたから、英語を理解できる人間はいなかった。